「ねーねー美穂ちゃんと輝くんって付き合ってるんでしょ?」

「らしいよー。輝くんから告白したんだってー」

初めてのクラスで一番最初に聞こえてきたのは

親友の美穂が告白されて輝と付き合ったという噂だった。

美穂とは、小学校の時からの親友で、ふわふわで長い髪が特徴。

誰にでもフレンドリーで恨まれることなど知らない子だった。

輝は小学校の時の・・・友達以下な存在の人。

ただ一度だけ席が隣になったことがあったけどいい思い出なんてなかった。

昔から「女嫌い」で、女子のことを「ばばぁー」と呼ぶ最低な人だった。

性格はクールなため女子や後輩からの人気はいつもトップだった。

でも私にとって輝は一目ぼれの人だった。

凛とした目。さらさらしていて動くとなびく髪。

自分の意見をはっきりいう性格

まるで私とは正反対。自分の本音をすべて隠し、うその笑顔を作り

周りに合わせてきた。嫌われないようにが精一杯だった。

「空っ!聞いてー!!」

美穂が顔を赤くして私の方に寄ってきた。

「あのねっ私、輝と付き合ったのー!!」

あの噂は本当だったんだ・・・。喜べない気持ち。なんだろう・・・。

「おめでとー!美穂ついにリア充じゃーん!」

私は作り笑顔でこう返した。

「ありがとー空!輝は好きだけど美穂は大好きだよー!」

幸せいっぱいで抱き付いてきた。嬉しそうな美穂を見ると

何も言えなくなる。今はただ美穂の幸せを願っていたい。純粋に思えた気持ちだった。


3時間目は先生がいないので自習だった。

クラスのみんなは皆バラバラで、まともに勉強しているのは私と数人ぐらいだった。

私の隣の席には綺麗な寝顔ですやすや寝ている

瞬がいた。瞬は真面目で面白くて誰にでも優しい。

中学校に入って初めて話した男子も瞬だった。

いつも話しかけてくれるのも瞬。瞬には本音も言えるような気がした。

ずっと寝顔を見ていたら綺麗な目がこっちを見た。

コンッコロコロコロ・・・。思わずペンを床に落としてしまった。

取ろうとすると瞬が私より先にとって渡してくれた。

「空ちゃんはいっ。」

「あっありがとっごめんね。」

「謝ることないよ。」

「うっうんっ」

元通り勉強をしようとすると視線を感じるー・・・。

ちらっと横を見ると瞬がこっちを見ていた。

「・・・?何?」

「いや、可愛いなと思って。」

「ええええええっ!?」

びっくりしすぎて大声を出してしまった。でもざわついていたので誰も気にしてこなかった。

今度はこう言ってきた。

「俺と付き合って」