「え、あの、すみません…」


「あ、いや…っ、
謝らせたかった訳じゃなくて、

…これじゃあ、前と変わらないな。」


「え?」



部長はまたそう言って悲しそうに微笑んだ。


部長、さっきからどうしたんだろう。
原因はわからないけど、うぬぼれてなければ、きっと私のせい。


今度は何しちゃったのよ、私!


「…ああ、いや…っ、そんなに悩まなくてもいい。
って、そんなこと言いに来たんじゃなくて…

お前、日曜空いてるか?」


「え、日曜日ですか?」


原因をつきとめようと、考え込んでいた私に、部長はまた予想もしてなかったことを聞いてきた。



日曜空いてるかって、
それって、まさか、デート…!?




「あ、空いてます!」


「そうか、よかった。
お前に、と言うか、お前と行きたいところがあるんだ。

ついてきてくれるか?」



焦りながらも返事をした私に
部長は優しく微笑んでそう言った。


不意にそんなかっこよく笑うから、
ずるい。
部長はいつだって意図も簡単に私の
心を乱す。



答えなんて決まってるのに、
部長は不安そうに私の顔をのぞきこんで、“ダメか?”なんて聞いてくる。
本当にこの人は、どうしてこうも
鈍いんだろう。

「もちろん、ついていきますよ!」

そう言って笑う私に、
部長はやっと安心したように微笑んだ。