香澄先輩、好き勝手言って…もう!
そうやって悪態をついても、
見守っててくれる先輩がいるのは
やっぱり嬉しくて、
私は香澄先輩の顔を頭に浮かべながら、
小さく微笑んだ。
「なに笑ってるんだ?」
ずっと笑顔だった私が気になったのか、
部長は少し屈んで、私の顔をのぞきこみながら、そう聞いてきた。
「あ、すみません。なんか、嬉しくて…
あ、そう言えば部長タバコ吸いに来たんじゃないんですか?」
部長は一日一本は吸わないと
イライラしてくるらしい。
だから今日も吸いに来たんじゃないかと思ったんだけど…
吸うどころか、タバコを出す気配もない。
「ああ、今日ここに来たのは吸いに来たんじゃなくて、
お前に用があって探してたら、
喫煙室で間山と話すお前を見つけたんだ」
「私に?」
あれ、私またなんかミスった…?
“鬼の塚本”復活…?
「えぇと、あの、用って…?」
私は怒鳴られるのを覚悟し、
少し震えながらもそう応えた。
「…そんなに怯えられると、さすがの
俺でも傷つくぞ。」
「え?」
怒鳴り声を待っていた私の耳に入ってきたのは、どことなく悲しげに聞こえる
声だった。