岬境 春(こうさか しゅん)side

「あぁー、終わった。」

大きなあくびをしている神也の隣で、何かを捜している春。

「やべぇ、携帯を屋上に忘れて来た・・。」

「おつかれ。」

他人事みたいに、そっけない態度をとる宮崎。

「わかったよ、先に行ってて。」

教室に近い階段を上がって屋上に向かう、春。

「ん?開いてるけど、誰かいるのか?」

ほんの少し開いているドアノブに手を伸ばすと、人の声がした。


そう、俺は知らなかった。この先、君と出会って運命が変わることを。

ときどき思うんだ。もしあの時、このドアを開かなかったらどんな人生を歩んで
たんだろうって・・。

きっとこの先も思い返すだろう。

     長い長い恋のお話を____________。