あの時、屋上で会った爽やかな感じとはまた違って、心強い表情の彼はまるで、
騎士のようだった。

(きっと、王子役とか似合いそう・・。)

「・・・!?」

無意識にそう思った自分が、急に恥ずかしく思えてきた。

「ハル、一本通すよ。」

玲が、サイドから顔を出して合図をした。

後から言われた事だが、演技中の私の声は人一倍大きかったそうだ。

思い当たることは、ただ一つ。

きっと彼に、聞こえて欲しかったのだろう。

根拠は今でも分からないままだけれど。