部活が終わって、俺は学校を出た。

先を歩く桐谷先輩の後ろ姿が小さく見えた。

俺は一瞬迷ったが、走って追いかけた。

追いつくのに時間はかからなかった。

「桐谷先輩!」

「何」

「いや……用があるわけじゃないんですけど」

「何でもいいけど、左側からしゃべってくれる」

「……? こういうことですか?」

先輩の右隣にいた俺は、左隣に移動した。

「そう、そういうこと」