ミーティングが済んだ後、桐谷先輩の真似をして楽器を片付けた。

部室の棚に楽器を置きながら、桐谷先輩は俺の名前を呼んだ。

「相原」

「はい」

「手は大切にして」

「手ですか?」

「そう、手」

先輩は、棚の扉を閉め、俺の真正面に立った。

「本気で楽器をやりたいなら、絶対守って」

「……はい」

「約束」

「はい」

先輩はそれだけ言うと、すっと部室を出ていった。