みんな一斉に動き出した。

チューバなどの特に大きな楽器は、校門のところまで持っていくだけで時間がかかるのだ。

桐谷先輩は、打楽器の方へ行こうとした。

「先輩? 何するんですか?」

「……手伝う」

「そんなの俺がやりますよ! 休んでてください」

「でも、みんな働いてるのに……」

「今無理したら、先輩の一番の大仕事ができなくなりますよ!」

先輩はうつむいた。

「……そうね」

俺は先輩を座らせ、打楽器のところへ向かった。