「隠すっていっても……」

「相原だから、気づいたの。先輩方は、たぶん言わなきゃわからない」

「でも……」

「でもじゃないわ。もし先輩方に知られたら、本番に出るの止められちゃう」

桐谷先輩は必死の様子で話し続けた。

いつの間にか、口調はいつも通りに戻っている。

それでも体調は相当悪いらしく、言い終わったとたん先輩は椅子に倒れこんだ。

「先輩……!」

「大丈夫、だから……」

荒い息をつきながらも首を振り続ける先輩に、俺は折れるしかなかった。