「私を誰だと思ってるの。二ヶ月やそこらで追いつかれちゃたまらないわ」

「あは、そうですね」

「ねえ、私のソロ吹いてみてよ」

「えっ……」

俺の全身を緊張が駆け巡った。

「ほら、どうぞ」

俺は覚悟を決めて楽器を構え、息を吹きこんだ。

約三小節間。

心をこめて、吹ききった。

「……うん。うん! 相原、頑張ったね。私、安心できそう」

先輩は、俺の今一番嬉しい言葉を言い、大きく何回もうなずいてくれた。