俺は有言実行の男だ。

先輩にああ言った手前、練習しないわけにはいかない。

部活のある日はもちろん、オフの日も音楽室に通い、個人練をした。

本番二日前の金曜日、桐谷先輩は言ってくれた。

「相原、口先だけじゃなかったのね。だいぶ上手くなった」

「でも俺、言い過ぎたって後悔してるんすよ」

「どうして?」

「先輩の音と聞き分けられないほどになるのは、明後日までには無理っぽいです」

先輩は俺の肩を軽くはたいた。

「当ったり前じゃない」