「……ふふっ」

先輩は微笑んで、ねえ相原?と優しい声で言った。

「ありがとう。相原がそこまで考えてくれるなんて」

恥ずかしさ、嬉しさ、愛しさ、いろんな感情が一度に沸き上がってきて、俺の顔面は沸騰寸前だった。

「私、やってみせるわ。私は他の誰でもない、桐谷藍だから」

やっと傾いてきた六月の太陽が、先輩の瞳を輝かせた。

どんな高価な美術品でも、今の先輩には敵わないだろうと思った。