俺はすっかり圧倒されていた。

先輩のその、気高さに。

少しの間の後、先輩は言った。

「ごめんね、相原。こんなこと言っても、困るだけだよね」

「いいえ、全然……あの、俺」

俺は大きく息を吸いこんで、一気に言った。

「俺、練習します。俺と先輩の音が区別つかなくなるまで、頑張ります。だから、だから……安心してください」

俺、何言ってんだ。

我ながら恥ずかしくなった。