一区切りついたところで、先輩は楽器を口から離した。

「ん、そこまで」

「はい」

先輩は、上を向いて俺と目を合わせた。

「本当に音楽初心者?」

「え、はい」

「嘘」

さっき俺にくれた紙を、先輩は指差した。

「これ見ただけですぐできるなんて」

俺、誉められてる?

喜びがじわじわと浸透してきた。