なんだ、そういうことか。

「最初からね。四拍数えたら始めて」

「はい!」

「いち、にい、さん、しっ」

楽譜をにらみつつ、音を追う。

先輩は、楽譜も見ずに目を閉じて吹いている。

……なんて上手いんだろう。

一緒に吹くと、余計そう思う。

なめらかで、芯があって、太い音。

俺の貧弱な音とは全然違う……。