「 神谷先生 」
授業の終わり、教室長に名前を呼ばれドキッとする。
俺、何かやらかしたっけ?
「 明日の担当の子なんだけど 」
「 え、あぁ、はい 」
てっきり説教をされるのかと思っていた俺は、拍子抜けた間抜けな返事をしてしまった。
「 初めての塾らしいんだよね。
その子も色々不安なとこもあると思うからよろしくね 」
「 あ、はい 」
返事の前に「あ」を付けてしまう癖はなんとかしたいものだ。
俺だって塾講師のバイトをしてからまだ1ヶ月しか経っていない。
今までの子は「先生こうするんだよ」とか教えてくれたけど、やっぱり初めての子は緊張する。
「 初めての子なんだ? 」
肩に手を置かれ、振り向く。
「 宮田さん 」
宮田香織。
学年的にも先輩で、塾講師歴でも先輩だ。