「楠君が誤解するような言い方はやめてください。あなたにそう思わせてしまったのなら申し訳ないが、僕の行動について、あなたに干渉される謂れはありません」


私の一瞬の不安を払拭するかのように、新藤さんはきっぱりと言い放った。それは良かったのだけど……

それを言われた美沙さんの顔が……一変した。

その形相は、新藤さんが現れるまでの彼女よりも更に恐ろしく、その目には、殺意と言ってもよい程の激しい憎悪が感じられ、私は身の毛がよだつ程の恐怖を覚えた。


「チッ。どいつもこいつもふざけやがって……」


美沙さんは低い声でそう呟くと、キッチンの方へ歩いて行った。


「新藤さん……?」

「彼女、普通じゃないな。あ、まみはどこだろう?」

「自分の部屋だと思います」

「そうか。君もそっちへ行っててくれ」

「でも……」

「彼女の事は俺に任せて、君は早く……」


という、やり取りをしていたら……


「行かせないよ」


美沙さんが戻って来た。その右手には、ギラギラと銀色に光る包丁が……