有華ちゃんの積極的さに感心していると、教室のドアがガラッと開けられた。
誰だろうと思い振り返ると、そこに立っていたのは有華ちゃんだった。
わぁ、『噂をすれば』だ!
だけど、今の時間なら有華ちゃんが来てもおかしくないよね。
そんなことを思っていると、パチッと有華ちゃんと目があった。
ゆ、有華ちゃんと目が合っちゃった……!
憧れている人と目が合うなんて、私はどれだけ幸せ者なの…!
だけど、逸らした視線をもう一度有華ちゃんに向けると、私は目を丸くした。
……私を見る有華ちゃんの目は、とても鋭く怒りに満ちあふれているようだった。
有華ちゃんの視線に圧倒されて目を逸らすと、有華ちゃんが私の方に歩いてきた。
な、なにかな……。
私がドキドキしていると、有華ちゃんは私の耳元で囁いた。
「調子に乗ってんなよ。
これ以上裕翔君に近付くな……?」
それだけ言うと、何事もなかったかのようにまた歩き出し、榎島君に話しかけていた。
……ど、どういうこと……?
さっきの言葉は、本当に有華ちゃんが発したもの……?
嘘…だよね……?
有華ちゃんがあんなこと言うはずないのに……。
私の頭は真っ白になって、思考回路はフリーズしてしまった。