「ま、確かにああいうのは面倒なタイプだよな。ちょうど目を付けられちゃった感じか」
そう言って田中君は苦笑いしている。
…なんで?
有華ちゃんは全然面倒臭い人じゃないのに…。
そんなこと言ったら、私の方がよっぽど面倒臭いじゃない……。
「大久保君、ちょっと……いい?」
わけが分からなくて、近くにいた大久保君に聞いてみる。
「なに?」
「どうして……榎島君は有華ちゃんが嫌いなの…?どこが面倒臭いの……?」
すると、大久保君はやれやれと言うように話し出した。
「榎島さ、去年のバレンタインにめっちゃチョコ貰ってたじゃん。
そこで、高宮にもチョコを貰ったんだって」
そ、そうだったの…?
ってことは、有華ちゃんは榎島君のことが好きなの…?
「その時に、一緒に告白もされたらしいんだわ。
榎島は高宮のことを好きなわけじゃないから、断ったんだよ。
そしたら……」
「そしたら…?」
なにがあったんだろう…?
「わんわん泣き出して、泣きついてきたんだってよ。
面倒臭くなって謝ったら、『裕翔君のこと、絶対諦めない』って言われたんだとさー」
そう言うと、大久保君はおかしそうに笑い出した。
な、何がそんなにおかしいの…?
「榎島もとんでもない奴に目付けられちゃったなー」
有華ちゃんに好きになってもらえるなんて、すごく羨ましいことだと思うけどなぁ……。
有華ちゃんも、積極的なんだ……。