それから引っ張られるがままに学校まで着くと、玄関前で止めてくれると思いきや、『早く履き替えろ!』と下駄箱で怒鳴られ、結局自分たちの教室に入るまで腕を引かれて走った。
すると、教室に入る直前で急に腕を離された。
急に止まったから、頭がクラクラする。
息も乱れ、ゼエゼエと肩で息をする。
榎島君はサッカーをやってるから体力は抜群にあるんだろうけど、テニス部の私は人並みの体力しかないんだから……!
すると、バスケ部の朝練で早く来ていた田中君と大久保君に声をかけられた。
「なに朝から手繋いで登校してんだよ。見苦しいぞ」
「榎島…?早くその手を離せ」
大久保君にそう言われ、榎島君はチッと舌打ちをして私の手を離した。
「アイツ嫌いなんだよ…。ああいう奴が一番面倒くせーの」
そう言って榎島君は頭をぐしゃっと掻いた。
「有華ちゃんのこと…?」
「そーだよ」
そのままスタスタと自分の席まで歩いていってしまう榎島君。
どうして?
有華ちゃん、すごく可愛いし頭もいいし、とってもいい子なのに…。
どうして榎島君は有華ちゃんのことが嫌いなんだろう…。
もう、分かんないよ……。