ゆ、有華ちゃん…!


さっきまで一緒に歩いていた三人は先に歩いて学校へむかっていた。


有華ちゃんはニコニコしながら私たちの方へ走ってくる。


そういえば有華ちゃん、榎島君のこと『裕翔君』って名前で呼んでた。


ってことは、仲がいいんじゃない。


榎島君、私に有華ちゃんと仲良くするなって言うけど、それって有華ちゃんとの時間を邪魔されたくないからなんじゃないのー?


もう。榎島君ったら素直じゃないんだから!


そう思って榎島君の顔を覗くと、しまった!という顔であきらかに焦っている榎島君。


どうせ、有華ちゃんとの仲を知られそうになったから焦っているんでしょう。


私にはもうお見通しですよ!


私が有華ちゃんと二人にしてあげようと気を利かせて、ソローっとこの場から離れようとしたら。


急に誰かに手首を掴まれた。


な、なに?


そう思って振り返ると、私の手を握っていたのは榎島君だった。


「裕翔君、おはよう。堀田さんも一緒なの?……って、何してるの!?」


有華ちゃんが笑顔で榎島君に挨拶したかと思ったら、私たちの状況を見た瞬間有華ちゃんの顔が強張った。


「行くぞ!」


それとほぼ同時に、榎島君は私の手を引っ張って走り出した。


ちょ、ちょっと!


有華ちゃんはどうするの?


「榎島君!有華ちゃ……」


「黙れ!黙ってついて来いよ!」


なっ…!


なんでそんなに怒ってるの?