あのあと、お母さんに促されるままに家を出ると、私の前のほうに女の子三人と一緒に歩いている有華ちゃんを見つけた。


有華ちゃんたち、楽しそう…。


憧れの目でそちらを見ていると、後ろから誰かにドンっと押された。


「わぁっ!?」


ビックリして振り返ると、そこにはいたずらっ子の目をして笑っている、榎島君がいた。


「お前、ボーッとどこ見てんだよ」


「えっ…べ、別に何も…」


「誰かかっこいい奴を見つけたのかよ?」


「ち、違うよっ!」



こうやっていつも私をからかう、榎島裕翔(エノシマユウト)君。


一年生のころから同じクラスで、女の子みたいな可愛い顔をしている。


そんな容姿とは裏腹に、榎島君はサッカーをやっていてその腕はとてもすごいらしい。


そのギャップからか、女子からは絶大な人気がある。


去年のバレンタインには両手で抱えきれないほどチョコを貰ってたっけ。


だけどあの時、とても機嫌が悪かったんだよね。


なんでだったんだろう?



まぁ、そんなことはいいとして…。