その気持ちを紛らわそうと、俯いていた顔を上げると。


どこかの部活が使っている、グラウンドが見えた。



パコーン


パコーン



ボールのはねる音が、次々に絶え間なく聞こえる。


この音は、多分テニス部だ。


グラウンドの前に来てみると、予想通りテニス部の生徒達がボールを打っていた。



するとその中に、小さいのに俊敏な動きで相手を圧倒している、一人の女子がいた。



────堀田真美だ。



堀田真美を見つけた瞬間、私はグラウンドのフェンスの前で立ち止まった。



私の目は、堀田真美に釘付けになった。


堀田真美は素早くボールのもとへ走り、上手くラケットを振って綺麗にボールを返す。


相手とのラリーが途切れてしまうと、流れる汗を輝かせながら、仲間と笑いあって次のグループと交代する。


その姿が、私には酷く眩しく見えた。