「そういえば、亜美ちゃん来れなくて残念だったね」


さり気なく私が話題を変えようとすると、二人もそれにのってくれた。


二人って、こういう少し単純なところがある。



「だなー。先約って、もしやデートだったりして」

「えー！ついに亜美ちゃんに先を越されたかー」



松田亜美(ﾏﾂﾀﾞｱﾐ)こと亜美ちゃんは、中学の入学当初からの親友で、部活も一緒。


くりっとしたタレ目が印象的な女の子。


亜美ちゃんはとても女の子らしい子だから、彼氏ができたって言われても納得できちゃう。



「なあ。真美は彼氏欲しいって思う？」


急に田中君がそんなことを言うから、びっくりしちゃった。


「えっ。…あんまり、思ったことないかな…」


まず、恋というものも、いまいちよく分かっていない。


それなのに、彼氏だなんて…。


随分と先のことになりそうだな。


でも、私ってすごく地味だから、彼氏なんて一生できないのかもしれない。


それってすごく悲しいなぁ…。


そう考えれば、彼氏欲しいっていうことになるのかな。


うーん。難しい…。