それにつられて私も小さく会釈した。



「この子は、斎藤恵ちゃん」



桜子ちゃんはそう紹介してくれたけど、本当は名前を知られたくなかった。


だって、真の好きな人だもん…。


なんか悔しいじゃん。



「斎藤恵ちゃんね!……えぇっと…。なにか…?」



急に初対面の人を紹介されたから、堀田真美は何の用かとオロオロしている。


なんかこの子って、どんな仕草も女の子らしくて腹が立つ。


わざとそうして男子ウケを良くしてるって感じ。



「別に何も用はないけど」



私が冷たくそう言うと、堀田真美は『そ、そっか!じゃあ、またね』と言ってさっきの男子と喋りながら自分の教室へ向かっていった。