「へ〜」

「でも、オーディションなんて一度も受かったことないですし、ボイトレの先生に誉められる事もなく」

「…」

「そのうち気づいたら、30越えてて、ついに貯金も尽きてきて…、もう実家に帰るしかなくなったけど、次の目標もないまま帰りたくなくて…」

「…それで、住まわせてくれって言った訳か」

「はい。自分でもよくずーずーしい事言ったなって今も思いますけど、ここに住まわせてもらって、本当良かったです」