ふいに智子の口から歌がこぼれる。

ハッ!

「………」

食器を洗う手が止まる。

…私、歌ってた…。しかも、アイドルソングなんて…。

「………」

「どうして、止めるの?」

佐藤がムクッと顔を上げて、智子を見る。

え?

「女の子の優しい歌声ってのは良いもんだなぁって、思って聴いてたのに」

………。