水を飲む手がおさまったのを見計らって、コーヒーを注ぎに行く。 「コーヒーをお注ぎ致しますね」 「あら、いい香り」 「水出しコーヒーなんです」 「まぁ、そうなの?」 「楽しみね」 「どうぞ、ごゆっくり」 智子がカウンターの方に戻ると、いつの間にか、佐藤がカウンターに座っている。 「あ、佐藤さん。あっち行かないでいいんですか?」 「…休ませてくれよ。俺にもコーヒー」