その日、家に帰ってご飯を食べ、お風呂から上がってコンクール曲を聴いていると、電話がなった。


「こなー。同じクラスの桜木君?からよー」

電話に出たお母さんに、そう言われた。


「桜木…?」

「たぶんそうよー。早く出なさい」

「あ、はいはい」


たぶんって…。
本当に桜木かなぁ…。
こんな夜になぜ?

と思いつつ、もちろんしっかり出るんだけど。


「はい、代わりました」

『中本?遅くにごめんな?』

おー、完璧に桜木の声だ。


「大丈夫だよー。えっと…桜木、だよね?」

『うん』

「だよね。…で、どうしたの?」

『なにが?』

え、なにが?って…。
桜木って、なんていうか…天然?


「え、いや、どうして電話してきたの?っていう…」

『あぁ、そういうことな。明日コンクール終わったら、話したいことがあるんだよ』

「話したいこと?でも、私コンクール終わるの結構遅いよ?最後、学校解散だし」