ガチャンと鍵を開ける香乃を
中山が後ろで見つめる。


『香乃、泣いてたよ。教室でたった1人』

『香乃の立場も考えて』


BBQの日、

夕里に言われた言葉が
なぜか蘇って……


ポケットの中に入れている手で
グッと拳をつくった。


『知ってたんでしょ?香乃の気持ち』


「あー、そう言えば今日小テストあるよね。あたし勉強するの忘れてた」


目の前で教室に入ってく
香乃の後ろ姿を見て、

中山が唇を噛み締めた。