懐かしい記憶がたくさん
頭の中に浮かんだ。

あの頃が、

1番楽しかったな──…


香乃からふふ、と
笑みが零れる。

それを横で阿部が見つめた。


「仁科さん、好きな奴居るの?」

「え?」

「居る?」

「と、突然何…」


阿部の真剣な目に
香乃が目を見開く。

またこの目…

『俺と付き合う?』

そう言ったあの時と同じ目で見つめられて
言葉が詰まった。

目が合うこと数秒、


「って、俺また変なこと言ってんね」

「………え、」

「ごめん、忘れて」