「ありがとう。香乃も手伝ってよー」


人参を渡すと
夕里が素早く流水で洗う。

あたしはその横で
何だか落ち着いていられなくて、

ソワソワしていた。


「……もう、仕方ないなぁ。行っておいで」

「え?」

「なんかよく分からないけど、アイツに用があるんでしょ?」

「…夕里」

「ほら、あたしの気が変わる前に行っておいで。今度ジュースね」


洗った人参で林の方を指す夕里に、

「ありがとう、夕里!」

香乃が笑ってお礼を言って
走り出した。


「…ったく、」


世話が焼けるんだから。