『……遥人?』


街中を歩きながら電話中、
中山の足がピタッと止まった。

反対側の歩道に
仁科と、────阿部?



「っ、」


何で、

こんなとこで会うんだよ…


グッとスマホを持つ手に
力が入って、

周りの音が無くなかったかのように
全身の神経が2人に集中する。


楽しそうに笑う
香乃が中山の瞳に映って。


胸がぎゅっ、とした。


俺には、
あんな笑顔見せてくれないのに…



『遥人?遥人ってば!』

「!…あ、ごめん。何だっけ…」

『もう。帰国する日にち決まったよって話の途中』

「ああ、そうだった。いつになるの?」

『8月2日』