剛志が冷めた目で
中山を見る。

香乃ちゃんは、

必死に自分と向き合って
お前とも向き合って

戦ってるのに…



「なのに、お前は今…揺れてんだろ。明日香と香乃ちゃんの間で」

「!」

「…中途半端な気持ちで2人に首突っ込むんだったら、俺許さねぇから」

「っ」



中山を睨みながら
剛志が踵を返す。

そして、


「香乃ちゃんは、俺が側に居るから安心して中山は、明日香のとこへ行けよ」


それだけ告げると
その場から離れて行った。


残された中山が
グッと拳を握る。


阿部の言うことが正しくて、

自分の行動と気持ちの愚かさに
情けなくて。


ダンッ…

壁を思いっきり
殴りつけた。