香乃が廊下を走って
ガラッと扉を開けた。


そこは、

反対校舎にある図書室。



「…剛志くん、ごめん!遅れちゃった」

「はは、そんなに焦らなくていいのに」

「あとこれ!返すの忘れててごめんね」

「あー…」



香乃が手に持っていたタオルを
剛志へ差し出した。


あたしが、

あの放課後泣いた時に
貸してくれたタオル。


あの時、

剛志くんはあたしが泣き止むまで
一緒に居てくれた。



「…最近、明るくなってきたね」

「え?」

「あれから沈んだ顔してたし、心配したけど最近は明るくなった」