『…ねぇ、遥人。あの時の約束覚えてる?』

「…え……うん、覚えてる」

『良かった!楽しみに、してるね…?』

「うん」



そして、

じゃぁ…と遠慮がちに
明日香から通話が切れた。


───あの時の約束…


スマホを握った手が
重力に逆らえず力無く垂れて。

ボーッと窓の外を見つめた。



『…2年で戻ってくるから』

『うん、分かった』

『その時に話したいことがあるの』

『……俺も、話がある』

『じゃぁ、これ…』


記憶の中にある
淡い思い出が引き出される。


俺と明日香が
照れくさそうに話す姿。


スマホにぶら下がってる
ロケットタイプのストラップが



────揺れた。