ちょきんっと小気味良い音が響いて、縄は切れた。
倒れ込んできたスズを柔らかく受け止めると同時に、霧みたいにハサミは手から消えてしまう。
お役目御免ってことか。便利だね。
切れた縄も消えたのには驚いた。
「なんで…」
「元はお札だから……」
“ああ…あのな、ゆーちゃん。お札は願いを封じた、一種の神様なんだよ。
紙は神と同音だから、封じやすいんだな。同一視されて。
さっきお札から出した白虎も、封じろーって願って封じさせたんだな。
たぶん安倍晴明が使った札は、縄になる神が封じられたやつなんだろうな”
「へぇ…」
SFも全部論理的になっちゃうのな。
「ん?」
そういえば縄から解放されたスズは、まだ俺の腕にしがみついたままだ。
「…スズ…?」
「……だめだ、キツいや…」
はあはあと荒い吐息を出し、きゅっと俺の袖を掴む。
傷は治ったんじゃないのか?
「スズっ!ど、どした?どこか痛むの?」
“ま、真っ青じゃねーか!”
「…ごめんなさ…ちょっと…毒っ……」
絶え絶えの息から絞り出すようにして出てきた単語に、驚いた。