“スズっ!”
「スズ…っ」
痛々しくて、同時に声を出した。
渋めのピンク色のワンピースを、今朝蜜柑からもらった。
だからスズにそれに着替えさせ、かわいいかわいいともてはやしたばかりだったのだが。
ピンクが赤黒い血に染まっている。
お腹のあたりが真っ赤だ。
白いシフォン(だっけか)生地のブラウスも紅く染まっている。
二の腕が紅くなってるということは、二の腕も怪我してるのか。
顔が真っ青なスズに急いで駆け寄った。
“け、怪我してるのか…?スズ!”
「い…い、息はあるみたいだ!」
“ばか!下手に動かすな――縄!縄をほどけ!”
「だってこれ結び目がない…」
真っ白のロープみたいな縄は、どうやってほどけばいいんだろう。
腕をお腹にくっつけて、芋虫みたいに転がせられて。
「スズ…」
あんまりにも、可哀想すぎる。
“き、切れ!”
「切る道具が…」
“噛みきれ!”
「無茶苦茶!?」
立派に慌てて騒がしい俺らに、ぴくりとスズがみじろいだ。