いつまでも泣いていられない、戻らなきゃ…。
流れる涙をティシュで何度も拭き、大きく深呼吸をした。
そして、またカウンターの席に戻った。
彼氏がトイレに立った。
あなたは、それを見計らってお箸の紙の裏にペンで何かを書きながら、私を見て寂しそうな顔をしながら笑い「泣き虫」と言った。。
私もつられて笑った。
その後、何か書いた紙を何回か折り、私に渡し今度は真剣な顔をして「何かあったら言えよ…」って。。
彼氏がトイレから出てきた。
紙は中身を見ないまま、そっとポケットにしまった。。

この紙こそが、それからの2人の後に「不倫」に繋がる言わば切符みたいなモノだった…。

あの時のあなたの切符のおかげで今の私がいる。
あなたはどんな気持ちで私にそれを渡したの?
聞けずに終わってしまった今、聞きたい事が山ほどあるよ…。

あの頃にはもう戻れないのに…。