「おばちゃん すみませんでした」

悠太だって 本当は 私の母の顔を
見るの 嫌だったよね


「悠太 尚 まだ高校生なんだから
こんな時間まで もうダメよ」


悠太は 怒られてる間も ずっと


私の不安なその手を しっかり
握りしめて 離さなかった


大丈夫だよ 尚 俺が 守るから

その悠太の手が 私に そう言っていた



その後 私の母は

悠太のお母さんに 電話を入れて

謝っているのが 聞こえた



「尚 もう大丈夫だから 部屋入りな」

悠太は 優しく笑って 私の頭を撫でた


「悠ちゃん ごめんね ありがとう」

玄関の前まで出て 私は 悠太を見送った


「また 後でね」

そう言って 悠太は 何回も 何回も

後ろを振り返って 私に微笑んで
手を振っていた


私が見えなくなるまで

私も 悠太が見えなくなるまで



ずっと あなたが帰るその道を
みつめていた