「じゃー先に応援席戻ってるわ」
気を利かせてくれたのか、智花はこの場から逃げるように走っていった。
………ごめんね智花…。
颯斗に告白してたことは、知らないフリをするよ…。
「風華」
胸が高鳴る。
今更だけど、低くて透き通った声で呼ばれる名前は
キラキラ輝いている気がする。
「明日屋上…な!」
そう言った颯斗は、私を置いて応援席へと向かって走っていった。
なによ……私に向かって言ってたんなら最初っから言ってよ…!
心の中ではそう思ってるはずなのに、顔はすごくにやけてて。
早く、本番になってほしい。
早く、明日になれーーーーーー…。