ななは本を抱えて帰って来た。


「帰ろうか」
ななは本をバックにつめてうちの前で微笑んだ。

「うん。帰ろ」
うちも、ニコッとする。


下校途中。うちはさっきの先輩たちの話をふと思い出し、ななに話した。
そしたらななは目を丸くした。

「今日の夜12時に死んじゃうね。」

ななは悲しそうに話した。

「え、なんで?」

「この学校の怪談にあるでしょ?朝話したやつ。」

そういえばそんなことをいってた気がする…。

「そうだったね…。」

「…うん。」

うちと、ななは家が隣同士。

うちらは家に着くまでお互いなにも話さなかった。

「じゃあ、ね。」
「うん、ばいばい…」


うちは共働きでなかなか家に帰ってこない親のいない家に入った。

でも一人じゃない。
うちには一人のお兄ちゃんがいる。

「おかえり。ゆり。」

玄関を真っ直ぐ進むとあるリビングの中からお兄ちゃんの声がした。

うちは靴を脱いでリビングに入る。

「ただいまー。」

お兄ちゃんは晩御飯の準備をしていた。

「今日はね、ゆりの好きなオムライスだよ。」

「やったぁ。ありがとね、お兄ちゃん。」
うちが微笑むとお兄ちゃんもにっと歯を見せて微笑んだ。

「服、着替えて来な。もうすぐ出来上がるよ。」

「わかった。」