耳を疑った。


嘘でしょ………?


なんで?


いつの間に?



疑問しか出て来ない。



沈黙する二人しかいないトイレ内に虚しく授業開始のチャイムが鳴り響いた。


もう授業なんてどうでもいい。


「今は3ヶ月目で。ついこの間病院行ったら分かったの。すごく具合悪いけど、その反面すごく嬉しい…」


お腹を撫でながらゆっくり話す。


ありすがありすじゃないみたいだ。


「ママにもパパにも秘密。今初めて蘭子ちゃんに言ったらスッキリしちゃった〜……」

「音瀬も知らないの?妊娠してること…」

「言えないよ。銀くんに迷惑かけちゃうもん」

「だけどっ……音瀬との子供なんでしょ?だったら言わなきゃ…」

「ううん。困らせるの嫌。それに銀くんは頭が良いからこの先があるでしょ?」



なんで笑いながら、そんな冷静なこと言えるのよ……。


溜めてたモノを吐き出すようにポロポロと涙を落とす。


「どうしよう…っ……どうしたらいいの、かなっ?もう分かんないよ…っ」

「……今は泣いていい。我慢するのは良くない」


抱きしめることが、今のあたしに出来る精一杯のことだった。