柄にもなく恐怖心に襲われて、つい足がすくむ。


ヤバイ……あたしの頭の中はそれでいっぱい。


どうにかして逃げないと。



「おっと。逃げようたって無駄だ。なんせ、お前は閉じ込められてんだ!」

「可哀想に~」

「ほんとなぁ。今から、あの男の腹いせに使われるんだぜ?」


タバコ臭い顔を近付けられた。


そして、その男はあたしを壁まで追い詰めて完全に逃げ場を塞ぐ。


どうしよう………


冷静になれあたし。


叫んだら何かされる……男10人に女1人が敵うわけない。



だったら?



あたしはカバンに手を入れて、スマホを掴んでチラッと目線を落として操作。


嫌だけど……頼るしかない。


無力。



「おいおい何してんだよ!?ケータイいじってんじゃねぇよ!」

「ごめんなさい……」


あたしのスマホをバンッ!と床に叩きつけた。


でも、もう大丈夫。


電話でコールかけてるから。



「ほんとうぜぇんだよ……。今から何されるか分かってるよな?」

「は、離せ!触んな!!」

「威勢いいねぇ~。動くな!」

「やめろって……」


あたしのセーラー服に手をかけた。


ヤダ………



お願いだから早く来て。