保健室に着いて由紀をベッドに寝かせた男の人は額にうっすら汗をにじませていた。

「疲労がたまってたのと、睡眠不足ね。きっと勉強を頑張り過ぎてたのかしらね」

保健室の先生はそう言って布団をかけた。



「よかったぁ‥…」

やっと安心した私はその場で座り込んでしまった。

「おいおい、君も倒れる気じゃないだろうね‥俺もう誰も抱えられないよ」

男の人はうっすら笑みを浮かべて私に手を差し出した。



「あ‥ありがとうございます」

私は差し出された男らしい手にドキドキしながらもしっかり握り立ち上がった。



そうだ!!

「あの‥名前なんて言うんですか?」

私はまだ知らなかった名前を聞いた。

ちゃんとお礼も言いたかったし。



「じゅん‥中沢准。さっき集会で話したんだけど聞いてなかった?」

「すいません‥由紀と顔見るので必死だったから話まで聞いてなかった‥です」

由紀を助けてくれた准‥先生はちょっと呆れた顔を作った。

でも‥

「後ろの方にいたもんな。でも話聞こえないくらい必死ってどんだけだよ!」

准先生は顔をくしゃって崩して笑った。



ドキッ‥

少年のような笑顔に不覚にもときめいてしまった。

私には好きな‥大好きな人がいるのに‥…



「准先生!由紀を助けてくれてありがとうございましたっ!!あと、休み時間に由紀の様子を見に来ます!!」

自分の変なドキドキを紛らわすために早口でお礼を言った私は、急いで保健室を出た。