蒼が口を開きかけたとき……
「楽しかったねー!!」
不意にトイレの外で女性の声がした。
「F、超かっこよかったよぉ!」
その声はどんどん近付いている。
蒼はあたしの手を握り、トイレの個室に引っ張り込む。
もつれるように個室に入り鍵をかけた瞬間、女性たちはトイレに入ってきた。
「それより、碧、どうしちゃったのかな?
急にいなくなったよね」
「うん。気になる~」
「でも、やっぱり碧かっこよかったね。
あぁ、碧に抱かれてみたい」
そんな女性の声を聞きながら……
あたしは蒼の腕の中に収まっていた。
ドキドキドキドキ。
鼓動がひたすら速い。
これっていけないよね。
バレたら蒼、変態だよね?
F、解散かもしれない。
だってここは神聖な女子トイレの個室の中。