「言ってるよね?
人気者だからって嬉しくない。
人気者になるためにやってるんじゃない」
蒼はいつもよりも低い声でそう言った。
甘くて静かなその声。
胸がきゅんという。
「俺は、唯ちゃんが笑ってくれるから歌う。
唯ちゃんが求めるから演じる。
……唯ちゃんがいるから出来るんだよ」
ほんとに?
ほんとに、蒼の活力の源はあたしだけだと思っていいの?
じゃあ、なんで……
「なんで、あたしは呼んでくれなかったの?」
あたしの声は震えている。
「あたしを呼んでくれなかったのに……
元カノを呼んだの?」
蒼の瞳が驚いたように大きく開かれた。
ほら、びっくりしてる。
あたしに黙っておくつもりだったのかな?
だって……
元カノに向かって笑う蒼が、あたしの脳裏に焼き付いて離れない。