気を紛らわすために、サッカーコートを見る。
そこでは既に準備が始まっていて、青いユニフォームを着た人と、白いユニフォームを着た人がコートの周りを走っていた。
あたしたちのすぐ手前にドラムがセットされ、スピーカーが置かれている。
そして、反対側のコートから、カメラがこっちを見ていた。
意外にも、Fの立ち位置が近い。
それが何だか嬉しくて恥ずかしい。
そして……
人々の大歓声の中、スタジアムにFが現れた。
いつもは黒い衣装が多いF。
だけど、今日のテーマは青色だ。
青いパーカーに豹柄のシャツ、黒いデニム。
それが新鮮でかっこよくて。
胸がきゅんとする。
艶と玄はサングラスをかけていて、酙は大きな帽子を被っている。
「やっぱりかっこいいなぁ」
亜美の目は完全にハートになっていて。
手を合わせて食らいつくように見入っていた。
そんな亜美に負けないほど、あたしも夢中。