スタジアム中ほどの席に座るあたしたち。
前のも後ろもファンで埋め尽くされていて。
至るところから会話が聞こえてくる。
「生の碧に会えるとか、マジラッキーだよね」
「あたし、泣くかも」
「あぁ、早く始まらないかなぁ」
いつもはあたしの隣りにいてくれるのに、そんな会話を聞くととても遠く感じる。
平凡で、ヘタレで、甘えん坊だけど、彼は大スター。
日本中が恋焦がれる憧れの人。
何だか複雑な気分だな。
蒼を独り占めしたいのに。
でも……
あの優しい笑顔や甘えた顔は、あたしだけのもの。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…