アルコールが回ると、素直になる俺。
普段言わないことも、酒の勢いで言ってしまう。
「ありがとう。
みんなのおかげだから」
本当にそう思う。
こんなにいい職場じゃなかったら、俺はFを続けられなかった。
後輩たちは驚いて俺を見た。
俺は後輩たちに続けていた。
「会社で情けないところを見せていたのに、誰も文句を言わなかった。
それに、俺のことを応援してくれた。
副業だって怒られてもいいのに」
後輩たちはくすくすと笑いだす。
「やけに素直ですね、戸崎さん」
中山はそう言った。
「だって戸崎さん、仕事もバリバリじゃないですか!
俺たちよりもずっと多い案件を抱えていて、課長からも信頼されていて。
その上で艶のスタジオ」
「それだけでしんどいですよね」
「珍しいね。俺を持ち上げて」
俺は届いた二杯目のビールを飲みながら笑う。
どうしたのかな。
俺の聞き間違いかな。
俺、褒められているのかな。
あ、きっと酔ってるんだ。